「とっても気持ち良かったよ」
ベッドの上で、彼女は少し照れたように笑った。
さっきまでの熱がまだ残っているようで頬はほんのり赤い。
短い髪は少し乱れていて、いつもの綺麗なレースクイーン姿とは全然違う。
でも、その無防備な感じがたまらなく可愛かった。
「もう、激しすぎだよ……」
そう言いながら、彼女はクッションを抱えてこちらを見つめる。怒っている言葉とは裏腹に、むしろ、どこか満足そうな笑顔。
鏡を見ながら「髪がこんなにグチャグチャ。優しくしてねって言ったのにぃ。やば、こんなの撮影会じゃ絶対見せられないね」なんて笑う姿に、思わずこちらまで笑ってしまった。


彼女はソファに腰掛けると、冷えた缶チューハイを手に取った。
「喉乾いちゃったぁ」
プシュッ、と缶を開ける音。
ひと口飲んで、小さく息を吐く。
「生き返る……」
その姿が妙に愛おしい。
さっきまで大胆に燃えてたのに、今はまた自然体の女の子に戻っている。
そのギャップがずるい。
「ねぇ」
彼女は缶を持ったまま、こちらに身体を寄せてきた。
「今日、ほんと楽しかった」
サーキットで見る彼女は、いつも華やかで、キラキラしていて、遠い存在だった。
でも今夜は違う。


待ち合わせで見せた柔らかい笑顔も。ホテルで照れながら髪を整えていた姿も。タオル一枚で恥ずかしそうにしていた表情も。
全部、“一人のオンナ”としての彼女だった。
「またこういうの、したいな」
小さな声でそう言って、彼女は肩にもたれかかってくる。
時間はあっという間だった。
車から降りた彼女は、マンションの前で振り返る。
「今日はありがとう。またね」
その笑顔は、撮影会で見せる写真用のスマイルなんかじゃなかった。
車のドアが閉まったあとも、車内にはまだ彼女の香りが残っている。
彼女が玄関に入って行くのを見届けた後、スマホを見ると一件のメッセージ。
『次はもっと優しくしてね?笑』
思わず吹き出しながら、次の夜を妄想してしまった。